YOUSAYは,川崎医療福祉大学の多職種連携チームクレマチスによって開発された感覚特性を整理できるアプリケーションです。個別性の高い多様な感覚特性について,本人,家族,支援者で情報共有を容易にする目的で,誰でもどの年代からでも活用できる日常生活のみならず,非常時にも活用できるしくみを備えたアプリです。感覚(視覚,聴覚,触覚,嗅覚,味覚など)は,ひとりひとりに違いがあります。感覚特性で気になることはありませんか?
私たちは,光,音,におい,味,温度,湿度などの体の外からの刺激を受けながら生活をしています。感覚は目に見えませんが,感覚には見る(視覚),聴く(聴覚),におう(嗅覚),味わう(味覚),触れる(触覚),姿勢を保つ(前庭感覚),痛み(痛覚)など,まだまだ多くの感覚があります。また,体外からの刺激に対して,体の処理能力は人によって差があることが知られてきました。我慢できないくらい強い苦痛となる刺激が,他の人にとっては何も感じなかったり,好きな刺激であったりします。特に子どもの場合は,感覚にともなう苦痛があっとしても,言葉での表現が難しく,周囲に助けを上手く求めることができず,辛さが継続して苦痛を強いてる状況となっていることもあります。子どもの場合は,できるだけ周囲の人が早く気づいて,環境を整え,苦痛を取り除くことが大切です。そのために,早期に関係者で情報共有することが重要ですが,情報が多すぎると特に短時間に整理して相手に伝えることには苦慮します。「YOUSAY」を活用することで,相手とのコミュニケーションの手助けになることも願っています。
《アプリの特徴》
*このアプリで診断や評価をするものではありません。あなたの支援者である方に対して,感覚にともなう膨大な情報を整理して,情報共有や相談に役立つように容易に情報提示できるしくみを整えたしくみです。
*ライフステージに応じてたくさんの情報とともに感覚特性に関連した情報も膨大となりますが,情報分類,保存,検索が可能であり,容易に情報の蓄積と整理を手助けします。
*必要な場面で,本人または家族が整理した情報を容易に提示できることで,必要な支援を考えてくれる人たちと繋がりやすくできる記録の蓄積となります。必要な場面は,例えば,病院受診,健康診査,幼稚園や保育園,学校,緊急時等です。必要な相手は,家族,主治医,保健師,看護師,臨床心理士,相談員,保育士,担任の先生など様々です。
*情報は,本人または家族からの提示となるため,情報が洩れる恐れはありません。
《内蔵している主な機能について》
アプリケーション「YOUSAY」には,主に以下の機能が内蔵されており,このしくみは2014年から川崎医療福祉大学多職種連携チームクレマチスによって考案され,多くの関係者からの意見を参考にしながら検討を重ねてアプリの中核となっている内容です。
1.YOUSAY:ゆうせいと読みます。
YOUSAYでは,膨大な情報の分類が可能で,日々の情報の保存,分類,検索,などを可能としています。
・見る(視覚),聴く(聴覚),におう(嗅覚),味わう(味覚),触れる(触覚),姿勢を保つ(前庭感覚),痛み(痛覚)などの感覚特性について,エピソードとともに記録を残すことができます。その時の状況について,記録だけでなく写真も残しておくと更に状況が説明しやすくなります。
・感覚特性に関連して苦痛がある場合は,記載をしておくと同時に,感覚特性の苦痛が和らぐ対処についても記載しておくと,今後に役立ちます。感覚においては,誰しも好きな感覚と嫌いな感覚があるため,特に小さな子どもの場合は,好きな感覚と嫌いな感覚を知っておくことで,子どもの苦痛を軽減するための環境調整に役立ちます。
2.YOUチャート:ゆうちゃーとと読みます。
YOUチャートでは,気持ちに沿う質問項目に答えると,感覚特性に連動した部分に色がつくことで,視覚的に着目しやすくして,短時間に相談や情報共有をしやすくしています。
YOUSAYの分類にあるように,感覚には好きな感覚や嫌いな感覚が存在します。特に小さな子どもは感覚の苦痛について,母親にすら伝えることができないことがあります。そこで,感覚に関しての気持ちに沿う項目を4つに分類して,アプリのアイコンにあらわしているように,①すきすぎる(オレンジ系の色),②いやすぎる(グリーク系の色),③反応しすぎる(レッド系の色),④わからない(ブルー系の色)と,YOUチャート該当する質問項目を色で視覚的に捉えやすくしました。4つの項目は短時間で回答できるだけでなく,専門職と情報共有した際に感覚の特徴に連動している項目を選んで分類しています。
3.その他
YOUSAYとYOUチャートで蓄積された情報は,緊急時や災害時にも短時間で感覚特性を理解してもらうことに役立つ内容となっています。